第2章 ガーベラと嘘。*
まるで焦らすかのように、僅かに指の腹が埋め込まれるだけでナカへの刺激はない。どれくらいの時間こうしていたのかわからない。膝が笑い始め立っていることもつらくなってきた。震える唇が、やめてほしい気持ちと反して勝手なことを吐き出す。
「いたるさ、いたるさん、っ、」
「ん?」
「さわ、って、…ほしっ…」
「よく聞こえなかったからもう一回言って」
「な、か…さわって…、っ、」
小さく笑う声が鼓膜を撫でる。胸を触っていた至さんの手が離れ蛇口から水を出し私の手についた泡を洗い流すと自らズボンを下ろせと指示をした。拒否したら触ってもらえないんだろうか。そう考えたところで体が至さんを求めていることに気が付いた。
言われるままに自らの意思でズボンを下ろす。外気が直接肌に触れ、同時に自分が今いる状況に体が震えた。誰に見られるかわからない場所でこんなことをしているなんて。空いた至さんの手が私の片足を持ち上げ、恥部に添えられたままだった指がナカにゆっくりと埋め込まれていく。細く骨張った指がナカを押し拡げていく感覚に唇が戦慄いた。片手で不安定な体を支えるようにシンクを掴み、もう片手は声が漏れないように口元を押さえるも指の抽送に抑えきれない声が指の間から零れる。
指は次第に本数を増し、抽送も速くなる。体内の熱を呼吸に乗せて吐き出すも高ぶる絶頂感は薄まらない。ナカが無意識に収縮して指を締め付けると近付く絶頂の波を至さんに知らせた。引き抜かれた指に纏わりついた滑りを帯びた糸が太腿を伝う。
「挿れてい?」
熱い息が首筋を撫でる。断るほどの理性は残されておらず、こくこくと首を縦に振ると耳元で「かわい」と囁かれた。背後で聞こえるベルトを外す音に至さんの余裕のなさを感じ、それにすらも理性の糸が解かれていく。
宛がわれた熱に息を呑む。腰を押し付けられると徐々にナカへと昂りが埋め込まれていき、その圧迫感に声が漏れた。がくがくと膝が震え立っていることもままならない。シンクへ体を預けると自然と腰を突き出すような姿勢になり、そのままの態勢で律動が始まると最奥まで抉られて思わず嬌声が漏れる。そんなことを気にも留めず至さんは激しく腰を叩きつけ、肌がぶつかる音が談話室に響いた。部屋の外まで聞こえそうな音に慌てて至さんの体を後ろ手に押すも全く気にしてくれず焦燥感が興奮を煽る。
