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【A3!】劇団員たちとの楽しい日常。

第4章 風邪を引いた日のとある日常。



「紬さん…」

「あ、起きてたんですね。寝ているかと思って、」

「あの…さっきはすみませんでした…」

「え、あー、いえ、俺こそすみません」


 困ったように笑う紬さんの顔が容易に想像できた。言い訳も思い付かず視線も宙を彷徨っていて、電気が消えていて良かったと安堵する。優しい手が頭を撫で、心地よさのあまり眠りに落ちそうになる。


「はるさん」

「…はい、」

「元気になったら、でいいんです、けど」


 歯切れの悪い言葉に紬さんへと視線を向けたが紬さんの表情は見えない。数秒間の沈黙の後、小さな深呼吸が聞こえ緊張感が伝わる。先の言葉の期待が胸を高鳴らせる。


「俺とデート、してくれませんか」


 確かに耳に届いた言葉に耳を疑う。デート。紬さんはそう言ったんだろうか。でも、まさか、いやでも、本当に?一目惚れをしてから夢見ていた出来事がまさに今起きている。布団から手を出すと緩く紬さんの服を掴んだ。


「…おねがい、します」


 呟くように吐き出した声は小さく震えていた。安堵するような紬さんの息遣いが聞こえ、声が届いていたことにこちらも安堵する。念願が叶い紬さんとデートが出来る。そのために早く治さないと。焦る気持ちが目を冴えさせる。ぎゅっと目を閉じても睡魔はどこかへ行ってしまったのかなかなか寝付けない。


「寝付けませんか?」

「…すみません…」

「じゃあ眠くなるまで少しお話ししましょうか」


 紬さんの手がまるで小さな子をあやすように優しく頭を撫でる。私の頭を撫でながら紬さんは今日あったことや家庭教師で担当している子の話をしてくれ、目を閉じて静かに聞いていると柔らかな声が耳に心地好くだんだんと睡魔が思考をぼやかしていく。いつしか私の意識は深い眠りに落ちて行った。
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