第4章 風邪を引いた日のとある日常。
「おっと」
「あ、すみません…」
「おや、はるちゃん。体の調子はどう?」
「皆さんのおかげでだいぶ良くなりました」
「そう。それは良かった。でもまだ顔が赤いね」
「…もうしっかり休もうと思って」
「じゃあボクのとっておきをあげるよ」
部屋へと戻っている最中に東さんと鉢合わせた。優しく頭を撫でられながらいつも通り落ち着いた東さんの声に眠気を引き出される気がする。部屋で待ってて、と言い残した東さんは自室へと戻ったようで、言われた通りに私も自分の部屋へと戻った。
おまたせ、と部屋に来た東さんの手にはアロマキャンドルが握られていた。安眠効果やリラックス効果があるものらしく、ベッドから少し離れたところで東さんはアロマキャンドルに火をつけた。少し間を置いてから柔らかな香りが部屋中に広がり、それだけで眠くなりそうだ。
「時間で勝手に消えるからあまり気にしなくていいんだけど、後でまた様子を見に来るからはるちゃんは寝てていいよ」
布団に包まる私の頭を撫でた東さんは微笑を浮かべて部屋を出て行った。枕元のリモコンで電気を消すと、真っ暗な部屋にゆらゆらと揺れるキャンドルの灯りがとても綺麗に映った。
うとうとと微睡みに身を任せていると控えめに部屋のドアが開いた。小さく私を呼ぶ声は紬さんで、そういえばタオルを変えてくれると言っていたのを思い出した。静かに歩み寄ってくる紬さんの手は水に触れていたからかひんやりとしていて、額に乗せられたタオルも同じように冷たかった。