第2章 バレーボール
ユニフォームに着替えた3年生は全員揃って更衣室を出た。
こういう所は仲良しの証しだろう。
それを見た1、2年生がすぐに整列する。
全員揃っていることを確認した茉子がさっきとは別人のように話し始めた。
昨日の練習試合の良かった所と反省点、これから力を入れる練習、そしてあと少しで自分たちが引退することまで。
それを踏まえて今日は昨日の試合のことを考えて、それぞれが自主練をするように、ということだった。
じゃあ、練習始め、の声を聞いて直ぐにみんなが動き出す。
奈々はさっき茉子が言った通り、サーブ練習をする事にしていた。
そんな彼女に近づいて着たのは2年生リベロ。
「奈々先輩のサーブ、取る練習していいですか!?」
後輩にあまり仲の良い部員がいない奈々に唯一人懐っこく話しかけてくる子だ。
その明るい性格に反して、やはり2年生でレギュラーということに責任を感じているのか人一倍努力している。
「いいの、私で。茉子の方がサーブの威力あるけど…」
「いえ!昨日の試合で、ジャンプフローター上手く取れなかったのでそれの練習したくて」
そう言われて昨日のことを思い返してみる。
確かに相手のサーバーの中で群を抜いた得点率を誇った選手がいた。
「私、あんなに変化しないけど…」
思い返してみればあの選手のボールの変化と私のサーブの変化じゃケタが違う。
「いいじゃん。このチームでジャンプフローター打てるのアンタだけなんだし」
いつから話を聞いていたのか、突然現れた茉子は屈託のない笑顔でそう言った。