第2章 バレーボール
複雑な気持ちになる奈々に茉子はすかさず
「じゃあサーブの練習しっかりやんなよ!で、次はサーブもブロックも1番とるの」
と言った。
自分の結果に納得のいっていない奈々には1番効果のある言葉だ。
こういうところは流石幼馴染だと思う。
奈々のことをよく分かっている。
昨日の反省に今日の練習内容などを話した2人は体育館に到着した。
中に入ればすでに後輩がネットを立てたりと準備をしている。
そして、後輩たちは茉子たちの存在に気づくとすかさず挨拶した。
軽く体育館に反響した元気のいい挨拶に茉子は笑顔で返答し、奈々は気まずそうに普通の声の大きさで挨拶して軽く会釈した。
「なんでそんなに嫌そうな顔するかな〜」
別に嫌そうな顔はしていない、と言いたげな奈々だがよく考えてみればそう見えるのかもしれない、と思い直した。
茉子は後輩たちにそれぞれ声をかけながら更衣室へ向かう。
一方の奈々は茉子の後ろをついていきながら黙っている。
元々あまり社交的な性格ではない事に加え上下関係の上の立場になることに苦手意識があるようだ。