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嘘と恋と友だちと

第1章 "元"カップル




そしてその会話は彼らも行なっていた。


「また山田とご飯か?」


茉子同様、先に教室に戻っていた丸井が仁王にそう言った。

そんな丸井を見て仁王はため息をついた。


「お前さんこそ相変わらず川村と一緒だったじゃろ」


なんであそこまでいい雰囲気で付き合っとらんのじゃ、と呆れ顔の仁王はそれを口には出さずに丸井に返答した。


「おう。この間発売したお菓子の話してたんだよぃ」


そう言って嬉しそうにガムを膨らませた丸井。

そのガムがパンッ、と割れてから丸井はまた口を開いた。


「なんでお前ら別れたんだよ」


本当に不思議だと言う顔の丸井に仁王はまたため息が出た。


「ブン太、それは何回めじゃ。俺たちが別れてからずっと言うとるぜよ。何回も言うが、俺と奈々は付き合ってようが別れようが何も変わらん。だから別れた。それだけじゃ」


表情を変えることなく、淡々と答える仁王。

丸井はいつもこの質問をする。その答えはいつも同じ。だが、丸井は仁王は本当は別れたくなかったんじゃないか、そう思えて仕方ないのだ。

当の本人は全くそんな感じは見せないからどうにもならないのだが…。


「俺たちのこと気にかける暇があるんならいい加減、川村と付き合いんしゃい」


もうこの話には触れるな、と言うように仁王が話題を変えた。


「分かってるんだけど、なぁ?」


返答に困った丸井は頭をかいて仁王を見た。


「ブンちゃんは何もせずに卒業しそうじゃな」


呆れた顔の仁王はフッと笑ってそう言った。



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