第1章 人が心から恋をするのはただ一度だけである
『でも、私ほかに好きな人がいて・・・』
「でももクソもねえ!
テメェ、俺にそこまで言わせる気か」
どうにか爆豪くんの機嫌を
損ねないよう気をつけるが、
なんだか彼の様子がおかしい。
いや、この状況が
そもそもおかしいんだけど!
「別にそれでも構わねーし、
お前が俺を好きになりゃいんだろが!」
・・・えっと、つまり、
待っててくれるってことなのかな?
それよりも、
すぐ横で今にも爆破されそうな
この状況に耐えられなかった・・・
『わっ、わかったよ!
言うこと聞くから、解放してください・・・』
正直、爆豪くんの気持ちに
答えられる自信はなかった。
・・・けど、もしかしたら、
私の無謀な恋を
終わらせられるんじゃないか
・・・という期待もしてしまった。
『えっと・・・よろしく、お願いします?』
私の言葉を聞いて爆豪くんも満足したのか
おう、とだけ答えて去ってしまった。
(意外に照れ屋なんだなぁ・・・)
これが爆豪勝己くんと私の
妙な恋人関係の始まりだった。