ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】
第4章 関係が拗れる話
「それが色々あってね、会うのが明日になっちゃったんだよ、それで暇だからぶらぶら買い物してたんだ」
「なるほど、そこで私を発見したと」
「うん、そう!ねぇ今日暇?遊ぼうよー」
「まぁ、別に用事もないしいいけど」
仲のいい友達だった事もあり、桜はその誘いを気軽に受けた。
その時だ。
「へぇ、用事無かったんだ…」
桜の背後から冷たい声が届いたのは…。
「?!」
「わぁ、ヴィクトル・ニキフォロフ選手だ!」
「ヴィ、ヴィーチャお久しぶり…」
「サクラってばヴィクトル選手と知り合いなの?わー、ファンです!握手してください!あとサインもいいですか!?」
何も知らないヨハンはヴィクトルに右手と手帳を差し出して、ミーハー丸出しで憧れの選手にファンサービスを強請る。
「いいよ、その代わり彼女を連れていってもいいかな?用があるんだ」
握手を交わし、サインを書いて渡せばヨハンは目を輝かせて「どうぞどうぞ!じゃーなサクラまた休み明けにー」とさっさと何処かへ消えてしまった。
「ちょ、え?」
「さあサクラ、行こうか」
腰に手を回されて、行く方向を定められる。
「あの、ヴィーチャ」
「黙ってて」
「っ!」
気まずさから桜はヴィクトルに話しかけたが、彼はそれを無表情で切り捨てた。
ヴィクトルの怒りは最もだ。
先程、桜はヴィクトルに用事があるから行けないと連絡を入れたにも関わらず、ヨハンには用事がない、と口にしていたのを聞かれたのだから…。
そして、車に乗せられて、桜は男の家に連れて行かれた。