第2章 偶然?必然?
「そろそろ仕事に戻りますね。」
「あっ、うん…また後で。」
「はい…後で。。。」
彼女はペコリと頭を下げて去って行った。
俺は手元の紙と彼女の後ろ姿を交互に見て歩き出す。
偶然また会えるなんて。
お礼が言いたいって彼女らしいな…なんて思ったけど、まさか食事の約束までできるなんて。
軽くなる足取りに気付かないフリをして、仕事に戻るとすぐに彼女の携帯番号を登録して、ショートメールまで送っていた。
奈帆side
まさか福山さんにまた会えるなんて。
ビックリしたけど、お礼が言いたいと思っていたから良かった。
そう言えば今日の服…何着てきたっけ?
「あれ?高野さん、何か良いことありました?」
仕事に戻ると後輩が声を掛けてきた。
「えっ?なんで?」
「なんか嬉しそうですよ?」
「えっ…そう?何もないよ。」
「え~っ、本当ですか~?」
「ホント、ホント。さて仕事、仕事。」
そう言って私はパソコンに向かった。
嬉しそうなんて…ただ食事に行くだけだし。。。
でも、私なんですぐにOKしたんだろう?
珍しいこともあるものだ。
とりあえず!残業しないように仕事を終わらせよう。
浮わついた心に気付かないフリをしてーーー
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