第2章 偶然?必然?
「お礼も言えないままじゃないですか…だから…今、会えて良かったです!」
すごく優しい笑顔に一瞬、心が奪われた気がした。
「福山さん、聞いてます?」
「えっ…あっ、うん!聞いてるよ。でっでもさ!払ってきたって本当のこと言ったら、高野さん半分出すとか譲らなさそうだし。」
「それは…そうすると思いますけど。。。」
「でしょ~」
「でも!やっぱり成り行きで一緒になって初めて会った私たちの分までなんて…申し訳なくて。。。」
「僕くらいの歳になれば後輩たち連れて奢ったりするし、気にすることないのに。」
「でも…やっぱりずっと気になってて…本当に会えて良かったです!あの時はご馳走さまでした。」
そう言うと高野さんはお辞儀した。
「そんな、いいんだよ。」
「後輩たちに聞いたら、誰も福山さんにお礼も言えないままだったし。。。」
「それは、僕も一緒に先に帰ったし。それに、うちの後輩からお礼言ってたって聞いてるし気にしなくていいんだよ。」
「でも。。。」
やっぱり真面目な子だなぁ…と笑ってしまう。
「じゃあさ…今度、何かご馳走してよ!」
それはハッキリ断られる覚悟で冗談ぽく言ってみた。
「えっ。。。」
ほら、やっぱりーーー
「はい!ぜひ!!」
えっ!?ぜひ?一瞬、時が止まる。
その隙に彼女はポケットからメモ帳を出して何かを書いている。
「仕事中なので今、携帯持ってないので…」
そう言って渡された紙には数字の羅列。
「えっ…これ…」
紙と彼女を交互に見る。
「私の携帯番号です。」
「えっ、いいの?」
思わず聞いてしまった。
「社交辞令でこのまま終わってしまうのは嫌なので。あっ…やっぱり迷惑でしたか?すみません…無理にとはーーー」
「ううん!迷惑なんかじゃないよ!」
少し食い気味に答えてしまった。
だって、絶対こんな風になるなんて思ってなかったから。
「じゃ、今日の夜は?」
今日の仕事は順調に行けば6時、7時には終わるはず。
「今日…ですか?急ですね。。。」
「あっ…ごめん…」
しまった…調子に乗ってしまった。
「ふふっ、大丈夫ですよ。」
「ホント!?じゃ、この番号にワンギリしとくから終わったら連絡してくれる?」
「はい、わかりました。」
ニッコリ笑う高野さん。
ドキッーーー