第14章 安土で(7)
そして今に至る。
三成「今の手はなかなか良かったですね。」
「ほんと?ありがとう!」
三成「ですが信長様に勝つにはまず私を倒してからでないといけませんね。そう考えるとまだまだです。」
「うっ…」
三成くんは笑顔で手厳しいことを言う…
秀吉「舞、三成、入るぞ。」
稽古が一段落すると秀吉さんがお茶とお菓子を持ってきてくれた。
これも最近の"当たり前"だ。
秀吉「稽古はどうだ?」
お茶を淹れながら秀吉さんが尋ねてくる。
三成「大分上達はしていますが…信長様に勝つにはまだまだですね!」
またも笑顔で三成くんは手厳しいことを言う。
秀吉「それはそうか……」
ふむ、とあごに手を当てて秀吉さんは思案し…
秀吉「…舞、これをやるから城下に行って金平糖を買ってきてくれないか。残りは小遣いだから好きに使え。」
「え…う、うん。分かった。」
三成「では私も…」
秀吉「お前はここに残ってろ。仕事だ。」
三成「?はい、分かりました。それでは舞様、お気をつけて行ってらっしゃいね。お稽古お疲れ様でした。」
「三成くんこそ毎日ありがとう!秀吉さんもお茶美味しかったよ、ありがとう!行ってきます!」
そうして私は久々に城下へ出かけた。
舞が出ていったあとーーー。
秀吉は渋い顔をして言った。
秀吉「近々、最近信長様の傘下に下った大名が反乱を起こしたらしく戦をするらしい。…この戦で少なからず軍神も刺激されると考えられる。………舞は、戦までに間に合わないだろうな…」
その目には戦への野心や決意よりも舞への気遣いが見て取れた。
三成「予想していたこととはいえ、お気の毒ですね……」
三成も目を伏せる。
少しの沈黙ののち…パンッと両の手を打ち秀吉は顔を上げた。
秀吉「で、だ。舞を労ってやろうと思ってな。付き合え、三成。」
三成「…?わかりました。」