第13章 安土で(6)
ためらいがちに、
三成くんは問いかけてきた。
三成「舞様は、
どうされたいのですか?
戦に行きたくないのですか、
それとも、戦を…止めたいのですか?」
三成くんの言葉に、
感情が溢れでてくる。
「…出来れば止めたいよ!
…でも、戦国時だ…この、乱世だし
仕方ないとは思ってる……
ねぇ、このまま…戦はずっと
続くの?」
つい、三成くんに聞いてしまった。
こんな事言ってもどうにもならないのに。
でも三成くんは、
しっかり私の目を見て答えてくれた。
三成「私は…この乱世は、
世が変わろうとして起こった、
一時的なものだと考えています。」
「え……?」
三成「世が変わるためにこうして
数多の戦が起こり…生きて、死んで…
負けて、勝って………
……最後に勝った者の信念が、
新しい世の礎となるでしょう。
そして…信長様か謙信様のお二人が恐らく今のところ最も近い所にいらっしゃいます。」
言葉を発せない私に
三成くんは続けて言う。
三成「私はこの戦いは
世を平定するために必要だと考えていますが…
舞様には何か別のお考えが
あるように思えます。」
違いますか?と三成くんは言う。
三成くんの言葉を、考えを
噛みしめて、飲み込んで、
でも変わらない気持ちを、
まとめた気持ちを伝える。
「私は…今まで戦とは無縁だった。
だから、頭では理解してもやっぱり
…考えなんて大層なものじゃなくて、
わがままみたいなものだけど…
歩み寄る余地があるなら、
戦の前にそういう道も探してほしい。
安土のみんなにも…誰にも、
死んで欲しくないよ。」
三成「…それをもう一度、
信長様に伝えてみてはいかがでしょう?
…先程の舞様のご様子では
今のそのお気持ちは全く伝わってなかったと思いますから。」
「……うん、そうしようと、思う。」