第11章 安土で(4)
「っ……」
「ふっ…」
「…はぁ」
「……!」
「おぉ…」
「お、御館様!」
私を含む六人みんながそれぞれ
違う反応をするのを
信長様は面白そうに眺めている。
信長「軍神と甲斐の虎が
生きていることがわかった。
今すぐにではないが、
戦をする。
貴様らも準備を進めておけ。」
信長様が高らかにそう告げ、
みんながそれぞれ少なからず
興奮している中、
ひとり、
私の頭はぐらぐらとしていた。
(軍神と甲斐の虎…
……上杉謙信と武田信玄だよね。
ってことは、当然、
佐助君や幸とも戦うんだよね……)
…いつかそういう日がくる。
分かっていたこととはいえ、
突然それを現実として
突きつけられて
どうしようもなく胸が苦しくなる。
……上手く息が、出来ない。
体温が一気に下がるのを感じる。
………嫌な、予感がする。
カタカタと震える身体を
抑えて、
震える声で私は訊いた。
「…どうして…………ですか。」
信長「なんだ、舞。
聞こえなかった。
もう一度言ってみろ。」
「………どうして私をそんな、
重要なお知らせの時に呼んだのですか。」
どうか予感が当たらないでほしい。
だって、そんなの、残酷すぎる。
祈るように目をつぶった
私の耳に届いたのは、
予想通り、残酷な言葉。
信長「貴様も戦へ連れて行くからだ。」
……あぁ、やっぱり。
この方は、そういう方だった。