第9章 安土で(2.5)
政宗「別にさっきのことは
構わねぇよ。
だが三成、正直に答えろ。
さっきお前はなんで俺の話を遮って
舞に城下の案内を
すると申し出たんだ?
俺も同じことを言うことは
分かってたろ?」
三成「……それが、
私にもよくわからないのです。
…何となく…ただ何となく
政宗様と共に行かせたくないなと
思って……」
政宗「…ほう。
俺じゃ力不足だったか?」
三成「いえ!そんなことは…
ただ……そうですね、出来れば
私が共に行きたかった…から、
でしょうか………」
そこでようやく笑いを収めたらしい
光秀が言った。
光秀「三成…お前は博識だが
己のことを知らなさすぎるな。
己の感情を知る努力をしろ。
あまりにお前は鈍すぎるぞ。」
光秀は珍しく真面目な顔で
そう言った後、政宗に言った。
光秀「こんなんじゃ先が
思いやられるな。」
政宗「……あぁ。
ここまで鈍いと折角だが
向こうの出方次第で
おそらくは失敗するだろうな。」
光秀「…けしかけるか?」
政宗「そんなことを
してやるくらいなら
横から俺がかっさらう。」
政宗はそう言って不敵に笑う。
三成「……あの、さっきから
なんのお話でしょう?」
光秀「いや、何でもない。
……そろそろ舞が
戻ってくるだろう。
逢引、楽しんでこいよ。」
三成「………?あいびき?」