第7章 安土で(1)
(ど…どうすればいいの……!?)
安土に連れてこられた舞は
そのまま広間へと引きずられ
数人の武将たちの前で
信長の隣に座らされていた。
信長「こいつが舞だ。
本能寺で俺の命を救った…
俺に幸運を運ぶ女だ。」
???「信長様を助けたって言うから
どれだけ強い女かと思ってたら…
…弱そうなやつ。すぐ死にそう。」
光秀「それはどうだろうか家康。
確かにすぐ死にそうではあるが
こう見えて意外と図太いぞ。」
何せ御館様の追手から数日とはいえ
逃れることが出来たんだからな…
そう言って光秀さんは
表情の読めない顔で笑う。
(えっ…というより…家康って)
「徳川家康…!?」
思わずつぶやくと徳川家康(?)が
こちらを睨む。
家康「……なんで俺の名前知ってるの。」
信長「俺の名前は知らなかったのに
家康のことは知っておるのか……ほう」
隣からはゆらりと殺気じみたものが
放たれる。
三成「流石は家康様!
その御力は遥々まで
届いておられるのですね!」
家康「……今その空気読めない発言は
本当に命の危険があるからやめな。」
信長「………とにかく。この女は
表向きは織田家ゆかりの姫として
過ごさせることにした。
ということで貴様は化粧でも何でも
好きなことをしていれば良い。」
「………それって
ただの居候ですよね?」
信長「……そうだ。
何か文句があるのか?欲しいものは
女中にでも言えば用意させる。」
「そんなっ…
ただ居候なんて出来ません……!」
信長「なら俺の褥を温めろ。」
「………え?」
信長「聞こえなかったのか?
俺の女になれと言っているのだ。
舞。」
そう言って
私の顎を掬ってきた手を、
「……やめっ………!」
思わず振り払うと、
広間に緊張がはしった。