第30章 ひみつのよる
「草津??」
思わず聞き返した。
しかし佐助君はにこにことして頷いて続ける。
佐助「そう、草津。温泉が有名だよね。折角だし通り道だからと思ったんだけど、どうかな?」
「それは……うん!行きたい!!」
正直とても行ってみたい。
少し前のめりになって食い気味に頷く。
佐助「良かった。じゃあ、そこで待ち合わせにして一晩泊まってから行こう。そしたら……」
そうして話し合いを重ね、
私達は未来へ帰る計画を立てた。
「ほんとに大丈夫?雨ひどいけど…もう少し休んで行ったら?」
佐助「……流石にこれ以上長居するのは舞さんにも幸にも悪いからもう帰るよ。」
「幸……?」
よく意味がわからなくて聞こうとすると、
佐助君がしっ、と囁き私の口を塞いだ。
佐助「…誰か来る。」
ハッとして耳を澄ますと足音はすぐそこまで近づいているのが感じられた。
(ど、どこかに隠れる場所……)
佐助君が万が一見つかったら危険だ。
どうにか隠れる場所を探すけれど見当たらない。
……と、布団が敷いてあることに気づく。
私は佐助君の腕を引っ張って布団へ押し込み、
自分も入った。
「……佐助君ごめん」
佐助「いや、えっと……」
戸惑う佐助君を尻目に息を殺し襖を見つめていると、
秀吉「舞、声が聞こえてきたが眠れないのか?」
(秀吉さんか……)
とりあえず来た人が誰かわかり、ホッとして、返事をする。
「えっと、眠れなくてちょっとお茶を点ててたの。もう寝るから大丈夫だよ!」
秀吉「そうか、早く寝ろよ。」
「わざわざありがとう。おやすみなさい。」
秀吉「おう。おやすみ。」
そして秀吉さんがまた遠ざかっていくのを確認し………布団をめくると……