第29章 未来へ
「……よし」
すべての手紙を書き終え、佐助君に渡す分だけを手荷物に入れて残りは部屋の机に置いておく。
部屋を出る時にもう一度だけ振り返り、部屋を見る。
(………色々あったなぁ。)
「………ありがとう」
一言、呟いて部屋を出た。
秀吉「気をつけろよ。」
政宗「また安土でも奥州でも来いよ。」
家康「……元気で。」
三成「舞様、お別れは言いません。またいつでもいらしてくださいね。」
「みんな、ありがとう!みんなも元気でね。」
馬に乗りみんなに手を振る。
光秀さんはお仕事で安土を離れているので会えなかった、残念だけど仕方ない。
(………信長様は、来ないか。)
今朝、天主へ行ったが会えなかった。
避けられたまま、みたいだ…
(仕方ない、よね…)
はじめの頃はこんなに別れが惜しくなるなんて思ってなかった。
みんなの顔を忘れないように心に刻みながら、
私は馬を走らせた。