第4章 借り物競争
ついに来た……。
男子借り物競争。
これだけは負けるワケにはいかねぇ。
何故なら…
この競技には
夜久も出るからだ…!!
ハチマキを絞め直して気合いを入れ、俺はスタート地点へと向かった。
「てっちゃん!借り物競争出るの?」
スタートラインすぐ横の救護用テントから声をかけてきたのは、梨央ちゃん。
「おう!見てろよ?ぜってー1位でゴールするから!」
「うん、頑張ってね!」
ポニーテールにした髪が、普段とは違って新鮮だ。
梨央ちゃんの応援があれば、夜久の一人や二人どうってことねぇ。
スタートラインに立ち、隣の夜久を睨む。
「…何だよ?」
「別にぃ?」
「"別に"って顔じゃねぇだろ!ガン飛ばしやがって!」
「飛ばしてませんがぁ?元々目つき悪いだけですけどぉ?」
「こいつマジ腹立つー!!」
夜久を挑発したところで、いよいよその時が来た。
「位置に着いて!用意……」
パアアァンッ――――!!
スタートダッシュが決まって、俺と夜久がトップに出る。
まあ、これは想定内。
勝負は、借り物が何かで決まる!
地面に準備された紙を開くと、そこに書かれていたのは……
『ポニーテールの女子』
……。
ラッキーッ!!
梨央ちゃんがすぐそこにいるじゃねぇか!
ダッシュでスタート地点へ戻り、テントの中の梨央ちゃんの手をとる。
「梨央ちゃんいい!?」
「え!私!?うんっ!」
梨央ちゃんの手を引きながら走り出せば、俺たちがトップ。
ザマァ、夜久!
勝負は俺がもらった!!