第36章 大野丸
かくして
憂鬱くんから スッキリくんになった智くんは
晴れ晴れとして 試験に望んだ
その日の夕方から収録だったから
俺すらも 結果はわからないままの収録
『受験から逃げてきた人間だから』
逃げてきたんじゃない
あなたは 受験よりやりたいことがあったから
『翔くん ごめんな 初めて気持ちわかったよ』
翔「いいよ そんなの!」
思わず ワイプで叫んでしまった
俺が勉強してたのは
親との約束を果たすため
強いては あなたと一緒にいるためであって
ニ「落ち着いてくださいよ 翔さん」
翔「だって 結果」
潤「今わかるから ね 大野さん」
智「ん」
あなたは 至って普通にしてて
その雰囲気から 落ちたとは思わないけど
やっぱり 心配で
『また 時間をとっていただく事になるかもしれません』
講師の方の言葉に
画面に映ったあなたの 顔
まさか まさか落ちたんじゃ
あんなに頑張って勉強してたのに
横を向いて あなたの顔を見ようとした その時
『次は 1級で』
なんだよ! オシャレか!!
びっくりさせないでくれよ 心臓に悪い
翔「アメリカのドラマみたい!」
嬉しくて つい
コントみたいな事 しちゃったりして
良かったね 智くん