【マギ】 A Trip to MAGI World
第7章 New Encounters
〈真愛side〉
青珠の…じゃなくて、私たちの部屋。
あの後、何だかお互いに疲れたから、鍛錬は明日からにしようってことになった。
やっぱ、空気が重いな…
「あ!そういえば真愛、武官皆をメロメロにしてたよね~」
「あぁ!あれ?実はね…」
・・・
「…へぇ~!魅力かぁ、いいなぁ~」
「でも青珠は魅力なんてなくても充分かわいいよ」
「え~、ホント?」
「ほんとだよ~。ってか、実際モテてるんじゃない?」
私がそう言ったら、青珠はうつむいてしまった。
…私、何かまずいこと言ったかな。
「…そんなこと、ないんだ。……私、微妙な立場なんだよね~」
軽い口調だったけど、声は悲しそうだった。
「微、妙…?」
「そ。・・・ねぇ、聞いてくれる?」
「…うん、もちろん!」
私がそう言って寝台に座ると、青珠も自分の寝台に腰を下ろして、向かい合う形になった。
「私の父はね、李青龍っていう人なの。知ってる?」
「うん」
李青龍。周黒豹と並ぶ、煌帝国の忠臣。
「まぁ、偉い人なんだよね。だけど、私の母は、ただの遊女なんだって。」
「そう、なんだ…」
聞いたことがある話。
紅玉ちゃんとか、アリババ君とかと、似てる。
「この国、もともと男女差別があるんだ。武官なんて特にね。そのうえ、父が『李の姓を名乗らせているが、私は期待などしていない』なんてみんなに言ったの」
「ひどい…」
いくら何でもひどすぎる。
「まぁ、よくある話なんだけどね。『名門武家の落ちこぼれ』。一般の武官とは違うけど、決して偉くない。だから、微妙」
青珠はそう言って、お団子の髪にさしていた簪を取った。
「その簪は…?」
「これはね、舜兄が、十五歳の誕生日にくれたんだ。ちょっと子供っぽいと思ったけど、でもすっごく嬉しかったな…。お兄ちゃんたちは、すごく優しいよ」
「そうなんだ。可愛いね、その簪。似合ってる」
金色で、お花の飾りがついている。
青珠によく似合う、かわいらしい簪。
「ありがとう。…お兄ちゃんたちは、母のことなんて気にせずに、私と接してくれた。優しくしてくれた。だから大好きだし、尊敬してるんだ」
やっぱり、青珠は心から兄のことが大好きなんだな。