【マギ】 A Trip to MAGI World
第7章 New Encounters
〈紅覇side〉
別にそんなに期待はしてないんだけど。
でも暇だし、イチジクでも買うついでに来てみようと思っただけ。
なのに…
「あの方の歌声を聞いた時から、紅覇様にお聞かせしたいとおもっていたんです!すごいんですよ~!」
「あぁもう麗々!それ何回もきいたしぃ」
こいつのテンたションが異常に高い。
「で?その歌っていつから始まるわけ?」
「決まってはいないようですが、頻繫に歌っているようです」
「えぇ~、またないといけないかもしれないの?」
僕待つの嫌い、と言おうとした時、
大きな、何かの気配を感じた。
炎兄の威圧とも、玉艶の重圧とも違うし、悪い気配じゃない。
だけど、どうしようもなく引き付けられる、その場を支配するような気配。
「この感じ…きっとあの方です!」
ふーん、ただものじゃなさそうだね。
気配のする方から歓声も聞こえるし、人気だってことも本当みたいだ。
「行ってみようか、麗々」
「はいっ!」
「あっ!あの方です!!」
「ふーん」
白く透き通った肌、黒く艶やかな髪、漆黒の瞳。
悪くないじゃん。
~♪
歌い始めた。
聞いたこともない歌だなぁ。
確かによく響く、キレイな歌声だね。
…んっ?
あの剣、八芳星が彫られている。
飾りか、それとも…
レラ―ジュ持ってくればよかったかな。
~♪
「素敵だったでしょう?」
「それよりあれ…。剣の八芳星、あの人攻略者か?」
魔導士ってそれ分かるんだっけ。
「う~ん、どうでしょうか?」
わかんないのか。
「聞いてみましょうか?」
えー、面倒くさいなぁ。
「うーん…。そうだねぇ~。あのー」
僕の声に気がついて、彼女が振り返った。
「はい!何ですか?」
…あ、この人の瞳、紫なんだ
…あ、れ
何だか…吸い込まれてく…気がする
お酒に酔ったみたいにふらふらする…
僕あんまり…酔わないけど…ね…