第6章  Departure

〈真愛side〉

昨日の夜のこと。

「真愛、相談に乗ってくれない？」
「ん、いいよ」

さっきからため息が多いと思ったら、やっぱり何か悩んでたんだ。

「私、今日王様に呼び出されてね…。『半月後バルバッドに行くが、君も来るか？』って言われたの…」

なるほど、霧の団と国の内戦が始まるんだ。
アリババ君とカシムの話は悲しかったなぁ。

「ねぇどう思う真愛？いつか行かなきゃって思ってたし、これ以上ないチャンスだけど…」

確かに、バルバッドから逃げてきた身だから、怖いよね…

「そうだね。今いかないと、１００％後悔するよ。」

「それは、わかってるの…。でもやっぱり怖いわ！ママもマノンもブタ（お父さん）も、私のこと恨んでるかも。…それ以前に、生きているかもわからないわ…」

そっか、連絡とか、できないから…

でも。

「生きているかもしれないし、恨んでいないかもしれない。ずっと後悔するぐらいなら、私は行くべきだと思うよ」

アリシアは　そうよね…。　とつぶやいた。

「でも、真愛と離れるのは寂しいなぁ。」

アリシアが笑って言った。

「そのことなんだけどね。私もちょうど半月後…旅に出ようと思うんだ」

「・・・えっ？」