第1章 別れ
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「とおさん!かあさん!」
ユーリは両親に抱きついた。
「おやおや」
「どうしたの?ユーリ?」
「あのね…。」
ユーリは泣いていた。
「今日ね、会った子にね、私の目が気持ち悪いって…。」
すると、両親の顔が暗くなった。
「ユーリ、お母さんの話をよく聞いて。」
「…うん。」
「私たち、クルム家の血が流れている人はね、目の色が左右で違うの。右目が赤で左目は黒。知ってるでしょ?そして、生き残りは私たちしかいない。」
「うん。」
「このことは、誰に何を言われても、絶対に言ってはいけないことよ。私たちは…」
「かあさん、そのことはユアが帰って来てから言ったほうがいいと思うよ。」
「とうさん…。そうね。ユアにも教えないと…。じゃあ、ユーリ、ユアが帰って来てからちゃんと話すね。」
「う…」
ドンドン!!
扉をノックする音が響いた。