第2章 心臓を捧げる右手
「金持ちになるためです。」
周りの空気が凍りついた。教官は冷めた口調で言う。
「そうか…。貴様は帰れ。」
「!?」
みんなが目を見開く。ユーリも驚いていた。が、
「あ゛ぁ゛?」
と、教官にメンチをきった。
「おい…。何でだよ。ふざけんな。正直に答えただけたろうが。」
彼女の話し方にも驚く。
「貴様には、巨人と戦う意志が無いとみた。そんな者兵士にいらん。」
ユーリは少し考えた後、こう言った。
「巨人になら立ち向かえる。俺は巨人が心底憎いからな。」
ユーリが右手を握りしめる。すると、ユーリの右手から血がしたたった。
「あ…」
思わず、ペトラの口から声が漏れた。
黙って見ていた教官が口を開いた。
「いいだろう。合格だ。」
ユーリはホッとしているように見えた。