第1章 別れ
ユーリが数十分程戦っていた布は、スルリと音をたて、床に落ちた。
「!!…やっと取れた!!」
(次は…)
窓ガラスが目にとまる。
ユーリは近くにある石をつかみ、投げようとした。
その時、
ガチャ
扉が開いた。
「あっ…!」
「…!?お、おい!!ガキの手がほどけてる!!みんな来い!!」
一人の男にばれてしまった。しかも、仲間まで呼んだ。
まずい。
ユーリが思った時には、全員が部屋に来てしまった。
男がこちらに歩み寄る。
終わった
そう感じた。
その瞬間、開いた扉から小さな影がとび出した。その影は一番後ろに立っていた男のふくらはぎに、何かを刺した。
「うあ”っ!!」
「!?」
男の足には一本のナイフが刺さっている。
そして、小さな影の正体は―…