第16章 嫌がらせ
ーー笠松視点ーー
たしか…前に黄瀬のファンの中に…見かけた気が…
ダチといるというより何処かに連れて行かれている様子に俺は不信感を抱き席から立ち上がった。
「森山、ちょっと席外す。」
「お、おい、笠松!」
俺は水瀬たちが使われていない第3体育館に向かうのを見て後を追った。
ーー笠松視点終了ーー
ーー第3体育館ーー
「…今日は何の用ですかッ…!」
「鬱陶しいんだよ!いい加減、いつも涼しい顔していい子ぶんなよ!」
「あんたさぁ、1週間も経つのに毎日毎日こんだけ痛ぶってるのに平気な顔してんだもん。そろそろバスケ部は辞める気になってくれた?」
「あんたが土下座して謝って2度と涼太に近づかないっていうならやめてあげるけど?」
「……言いたいことはそれだけですか?
毎日呼び出されても返す言葉は変わらないです。
バスケ部は辞めるつもりはありませんし、あなた達に謝る必要性も感じません。涼太と話をしたければ自分で話かけたらいいんじゃないですか?」
第3体育館へ来るといきなり頬をひっぱたかれて壁に突き飛ばされ、何度も何度も同じ話を続けられて正直うんざりしていた。
涼太と話をしたければ話せばいい。
彼女たちは単に一番距離感の近い私をターゲットにしたいだけなのだろう。
「そう…なら、2度と涼太の前に出れないようにしてあげる!!」
1人の同級生が、おそらく野球部から持ってきたであろう金属バットを隠し持っていて思いっきり私に振り上げた。
「ッ……?
……か、笠松…先輩…?」
咄嗟に手で防御して目を瞑り不思議と痛みが襲ってこなく目を開けると笠松先輩がいて金属バットを掴んで止めていた。