第16章 嫌がらせ
「水瀬…?…何やってんだ?」
「あ、笠松先輩、ちょっと先生に頼まれて資料をこの部屋に運んでたんです。」
「…そう…なのか…?……大変だったな。」
「もう終わったので大丈夫です。部活に行きましょう。」
私は悟られないように無理して笑顔を作り笠松先輩と一緒に体育館へと向かっている。
ーー笠松視点ーー
授業が終わり教室を出ると水瀬が使われていない資料室から出てきた。事情を聞くと教師に頼まれたって言っているが……
たしか…ここは今までの卒業物をしまっている資料室で何年も使われていない場所って前担任教師から聞いたことがある…
「もう終わったので大丈夫です。部活に行きましょう。」
いつもの水瀬の笑顔ではなく俺は違和感を覚えた。
水瀬は何か隠していると…
ーー笠松視点終了ーー
「水瀬、なんかあったのか。」
「え…なにが…ですか…?」
「明らかに様子がおかしいつーか…」
「え…?何もないですよ…。いきなりどうしたんですか?」
「…そうか…何もないならいい…」
笠松先輩に聞くと内心ドキッとして平静を保つのに必死だった。
中学の時なんて誰にも気づかれたこともないのに…
やっぱり笠松先輩はするどい…
私は平静を保ちながら笠松先輩と話をして体育館まで向かった。