第15章 朝練
朝練も終わり体育館から出ると校内の涼太のファンの女子ほぼ全員が涼太の方へ集まった。
中学の時より明らかに人数が増えている。
中学同様そこらへんの悩みは高校生活までどうやら続きそうだ。
「黄瀬くん!お疲れ様!」
「すっごくカッコよかった!」
「今月の表紙みたよー!すっごく良くて…」
「えっ…ちょ…まいったな…」
「すごい人気…羨ましい…黄瀬って中学の時からあんな感じだったの?」
「そうですね…他校から見にくる人もいましたね。体育の時間はほぼ歓声が起きてました。」
森山先輩は涼太のファンを見て羨ましそうに見ている。
良いファンばっかりならいいけど、そうじゃないファンもいるからな…
視線を感じると遠くで涼太のファンの一部が私を睨みつけているのが見える。
「では、ここで失礼します、また放課後に。」
涼太を放っておいて先輩たちににっこり微笑み軽く会釈をして教室に向かった。
今日の放課後あたりから始まりそうだな…
…どう対策しようかな…
「水瀬…!」
「…?笠松先輩?どうかしました?」
「…いや…なんとなく…なんか嫌な感じっていうか…よくわかんねえけど…大丈夫か?」
「え…?」
まさか笠松先輩は知らないはず…
私は涼太のファンから3年間嫌がらせを受けていた。
もちろん涼太の知らない所で。
涼太はもちろん知らないし、このことはさつきちゃん以外に話したこともない。
「どうかしました?大丈夫ですよ?」
「ならいいが…。」
変な素振りなど見せてないはず…
…笠松先輩は察しがいい。
でも、みんなに部活に集中してもらうためにはこれくらい自分でなんとかしないといけない。
「では、また放課後に。」
軽く手を振りそのまま私は教室へ向かった。