第60章 葛藤
「未来はわかんねえけど…聖知の側には俺がいる。だから今はゆっくり休め…考えんのは休んだ後だ」
「幸男さん…」
聖知はほんのり顔が赤くなり俺から視線を逸らした。それも束の間…急に俺の腕に抱きついて肩に寄りかかり聖知の温もりが腕や肩を通して直に伝わってくる。
「ッな…!」
「ダメ…ですか…?」
「べ…別にダメじゃねえよッ…けどッ…」
「幸男さんといるとホッとします。悩んでることなんて吹き飛ぶくらい…いつもありが…」
無意識なのかわかんねえが…上目遣いで俺を見つめながら喋る聖知を見るとドクンッと欲を掻き立たられる。
聖知が近づいた事で温もりだけじゃなく、フローラルのような花の香りがすると我慢なんてできるわけがねえ…
気がついたら肩に手を回して聖知の言葉を飲み込む様にキスしていた。
「あんまそういう事すると…外だろうがどこだろうが歯止めが効かなくなるんだよ」
「そ…そういう事って…?」
「ッ……わかるだろッ…」
ゆっくり唇を離すと聖知は恥ずかしそうに赤くなって俺から視線を逸らす。
察してくれない聖知は再びさっきと同じ様に上目遣いで見つめられるとマジで我慢なんかできなくなる。
「幸男さん…?」
「ッ…聖知……」
少し聖知と距離を空けて冷静になろうとするが逆効果だった。隙間が出来ると聖知はより一層俺の腕に抱きついて胸の柔らかい感触が伝わってきてさらに胸が高鳴る。
腕に胸が当たる感触に一気にこの場で襲いたい気持ちになるが、ゆっくり息を吐く。そんな状態の俺に構わず聖知はさらに煽る様な行動に出た。
「幸男さん…どうかしましたか?」
「ッ…!」
いつもなら全然平気な行動でも理性を抑えている俺には生殺しされてる気分だった。
聖知が俺の手を優しく握り心配そうに上目遣いで見上げられると理性の糸がプツンと切れる音がした。
「ッ…煽ったのは…聖知だからな…」
「…ど…ッ…」
深くため息をついて聖知の両肩に手を置くと唇を奪う様に口づけた。
さっきのような軽いキスなんかでは終わらねえ…
逃さねえように後頭部に手を回して角度を変えながら何度も聖知の唇を貪った。