第15章 朝練
ーー笠松視点ーー
「あ…いっちゃった…。もう少しだったのに…」
「このボケッ!練習中に口説くな。」
「いッ…!ッ…笠松…練習中じゃなきゃいいのか?」
「あ!?」
「俺としては不服だが3人でデート「うるっせ!外周50周行ってこい!」
練習の休憩中に水瀬から飲み物をもらうとほんとに同じ部に所属しているのを改めて痛感し思考がしばらく停止した。
「サンキュ。」とだけ返して飲み物を受け取った。
わかっているのに…慣れねえ…
そんな中森山が口説く声が聞こえてきて内心イライラしていたが、
水瀬自身もちょっと、いや…かなり引いている。
そろそろしばき倒そうと思った矢先に水瀬は監督に呼ばれて体育館の隅の方へと向かった。
「たくッ…」
「笠松先輩…1つ聞いてもいいっすか?」
「なんだよ。」
「笠松先輩は聖知っちの事好きっすよね?」
「Σッ…ケホッ…なッ…お前…何言ってッ…「はぐらかすにやめてもらっていいっすか?」
「俺、本気っすから。聖知っちに…中途半端な気持ちで近づいてるんならやめて欲しいっす…」
「はぁ……お前、馬鹿か?」
森山が外周をしに行くのを見届けてからドリンクを飲むと黄瀬が水瀬の話をしだした。
正直飲んでたドリンクを吐き出すかと思ったが、
黄瀬の表情はいつものおちゃらけた感じではなく真剣な表情そのものだった。
中途半端な気持ち…?
そんなわけねえだろ…
「昨夜もそうだったがお前…自分のことしか考えていないんじゃないのか。今日朝の感じからして昨夜の事はわだかまりはなさそうには見えたが…
最後に選ぶのは水瀬だろ。誰がどれくらい好きとか関係ねーんだよ。
お前、水瀬が自分の方へ向かないから俺にこんな話してんのか?」
「それって…好きってことっすか。」
「お前には関係ねえだろ。」