第60章 葛藤
「あのさ〜聖知っちんは覚えてたわけ?室ちんの事…」
「……最初は覚えてなかったけど…思い出してくれたよ」
「ふ〜ん…恋人いるのに室ちん、何で諦めないわけ?室ちんが入る隙間とかないじゃん。」
「敦…男女の関係ほど脆いものはないよ、付き合ってまだ数ヶ月のカップルとかは…特にね…?」
敦の言葉にフッと笑む。
彼氏がいるから、彼女がいるからとか…関係ない。
聖知ちゃんが好き
聖知ちゃんの全てを知りたい
全ての視線も照れた表情も俺にだけ注いでほしい
聖知ちゃんに再会して気持ちが収まるどころか、より一層昂って冷静に話せていたのが不思議なくらいだった。
「敦、聖知ちゃんの連絡先教えてくれないか?」
「え〜直接聞けば良かったじゃん」
「いや、現恋人がいる前で聞いても流石に止められていたんじゃないかな…」
「ふ〜ん…まぁ、いいけど…」
敦に聖知ちゃんの連絡先を教えてもらった。
ブツブツ文句を言いながらでもすんなり教えてくれた敦は応援してくれるつもりがあるのか、聖知ちゃんの好みや苦手な物など教えてくれた。
「敦、ありがとな」
「別に…知ってる事だけ教えただけだし…略奪できるといいね〜」
「略奪って…まあ、そうなるのかな」
一つデメリットを挙げるとしたら聖知ちゃんと遠距離だという事。でも、また会える機会は必ずある。
合宿期間も半分終えたばかり…俺はある提案をしようと敦と一緒に合宿所へと戻って行った。