第59章 夏の陽だまりに咲く初恋
「誰が貴女に発言を許したの?……お黙りなさい!」
「やはりお止めするべきでした……お嬢様はお忙しい身なのですから……『バスケはお止めください』と…」
「………今……なんて言ったのかしら…」
「ッ…!」
「バスケです、バスケットボールのことです。」
「そう……通りで…時間を守れないわけね」
「ッ…お…お祖母様ッ…きゃッ!」
そういうとお祖母様は再び教鞭を持って私に怖い顔で近づき、髪を強く引っ張った。
「やっぱりあの男の子どもね!…本当に穢らわしい…そんなものにうつつを抜かすからこんな目に貴女はあうのよ!」
「嫌ぁッ!お祖母様ッ…止めてくださいッ…きゃあッ!」
「思い知りなさい!!」
桐生のいる前で背中から服を破かれて直接肌に教鞭で背中を打ち叩かれた。悲鳴をあげても泣いても許されない。
誰も助けてくれない。
お祖母様の気が済むまで私はずっと打ち叩かれた。
「ッ……うッ……」
涙も枯れて激しい折檻に身体中痛くて動けなかった。
動けない身体でもお祖母様と桐生の言葉だけはしっかりと耳に入ってきた。
「桐生、明日から聖知の散歩の時間は無しにしなさい」
「かしこまりました、早急にスケジュール組み直し提出いたします。」
「ッ…そんな…それだけはッ…!」
「まだ打たれたいの…時間を守れない無能で穢れた貴女に休憩なんて必要ないって言ってんのよ」
「ッ……」
お祖母様の言葉につい言い返してしまい、ピシャリと人格否定される言葉を浴びさられ…涙が溢れてくる。
好きなことをほんの数分していただけなのに…
それがそんなにいけないことなの…
もう…わからない……
「桐生、後始末と聖知に治療を…それから次回からはいかなる理由があっても私に必ず報告なさい。いいわね…」
「かしこまりました」
お祖母様は私には目もくれず、教鞭を床に放り投げるとお仕置き部屋から出て行った。