第59章 夏の陽だまりに咲く初恋
「お嬢様…楽しかったですか?」
「………」
「無視ですか……まぁいいでしょう…それより、いい加減お部屋にある雑草…いえ、花ですか…いつになったら片付けるのですか」
「貴方には関係ない」
『雑草』という言葉に桐生を睨みつけるとバカにしたように私を嘲笑する。
怒っても仕方ない。
相手にせず私は重い屋敷の扉を開いた。
いつもの私の日課
そのはずだった
いつもと違うのは鋭く冷たい氷の眼で私を睨みつけるお祖母様がいた
「ッ…お祖母様…どッ…!」
バチンと頬を叩く乾いた音が響き、頬が赤く腫れ上がった。いきなり叩かれて訳がわからず頭が追いつかなかった。
「………桐生、何か反論はあるかしら…私が言いたい事わかるわよね」
「大変申し訳ございません、弁解する言葉もございません。」
「ッ…な…なんで…」
お祖母様と桐生が話す言葉に理解が追いつかない。
一体何を言っているのかわからない。
「本当に…頭の悪い子ね…だから時間も守れないのね」
「ッ…じ…時間…?ちがッ…そんなはずはッ…!」
「来なさい!しっかりとその身体に教え込まないと」
「いッ…嫌っ…!お祖母様ッ…ごめんなさいッ…!もうしませんッ…ごめんなさいッ…ごめんなさいッ…!」
「早く来なさいって言ってるでしょ!」
ポケットに入ってる時計を見て青ざめた。
いつもなら7分前には屋敷に着いていたのに…時間は3分も過ぎていて勉強の時間に遅れてしまった。
お祖母様は教鞭を持ち私を引きずるように強引に引っ張る。
何をされるかなんてわかっている。
勉強を間違えた時…お祖母様の反感を買った時…いつも折檻された。
痛いのは嫌…何度も何度も謝ったけどお祖母様は許してくださらず、最終的には私の髪を引っ張りいつものお仕置き部屋に放りこまれた。