第59章 夏の陽だまりに咲く初恋
「じゃあ…私、そろそろ帰るね」
「おう!聖知!俺、明日来れねえからまた明後日な!」
「たしか…ハンバーガーの大会があるんだっけ…?」
「早食い選手権らしいよ、大我の胃袋はどうなってるんだろうね………」
時刻がとうとう屋敷へ戻る時間になってしまった。
楽しい時間は早く終わってしまう事が未だに寂しく感じてしまう。
そんな気持ちを悟られないように明るく振る舞い去ろうとした時、辰也君が私を引き留め駆け寄ってきた。
「今日言ってた話…明日改めて聖知ちゃんに伝えてもいいかな…」
「…?向日葵の花言葉の話?」
「そ…それもあるけど…ほら、伝えたいことあるって…」
「あ…うん…」
辰也君の顔が、またさくらんぼみたいに赤くなっていた。今すぐ聞きたい気持ちはあったけどすぐに戻らないといけない。
辰也君の話が何なのか好奇心が湧いて気になったけど楽しみは明日にとっておく事にした。
「わかった、明日楽しみにしてる…じゃあ、また明日ね!」
「うん!明日、いつもと同じ時間で待ってるから…」
辰也君に手を振りその場で別れた。
まさか…これが最後の別れになるなんて
思いもしなかった
再び絶望を味わう事になるなんて…