第59章 夏の陽だまりに咲く初恋
—氷室side—
「大我……」
「わッ…わかったから…引っ張るなよッ…」
「……まさかとは思うけど…狙ってきたとかじゃないよね…」
「はぁ…?なんの話だよ…」
聖知ちゃんにとうとう…俺の気持ちを告白する。
本当はもっとお互いもう少し大人になってから伝えようと思っていた。
でも…思ったより聖知ちゃんは鈍感というか…天然というか…お花をプレゼントした理由にわざと含みのある言い方をして俺を意識して貰おうと思っていたのに…
聖知ちゃんは特に気にすることなく、いつもと変わらない様子に焦りを感じた。
その聖知ちゃんに…やっと想いを打ち明けられると思っていたのに…後から来た大我に邪魔され出鼻をくじかれた。
「もしかして、辰也… 聖知に…」
「そのまさかだよ…」
「で…ど…どうだったんだよ… 聖知はなんて…」
「大我が良いタイミングで現れてくれたおかげで何も伝えられてないよ」
「なッ…なら…今から…」
「大我…想いを告げるには雰囲気が大事なんだよ…もう言えないよ」
「じゃ…じゃあどうすんだよ…」
大我は俺が聖知ちゃんを好きなことを知っている。お花をプレゼントする時も半分大我に協力してもらい準備した。
初めてのプレゼント…
女の子にプレゼントするのは初めての事で…
一緒に聖知ちゃんが好きな物を考えて用意したんだ
「とりあえず…今日は時間もないし…また後日にするよ」
「なら…明日とか…俺、明日用事あって来れねえし」
「…あぁ…確か、ハンバーガーの大食い選手権だっけ…本当に大我はよく食べるね」
「少年の部のな…辰也こそ食わなさすぎなんだよ…」
「まぁ…明日は聖知ちゃんと2人っきりって事なら…チャンスはありそうだね」
「聖知からの返事…OKだったか、振られたか、また教えてくれよな!」
「大我……もう少しオブラートに包んで言ってくれないかな…後、伝える前から振られたって言うのもちょっと…」
大我からの話に珍しく賛同した。
今日は聖知ちゃんも時間がないし、今からじゃうまく伝えられる自信もない。
全ては明日…
大我と2人で聖知ちゃんの元へ戻った。
これが…永い別れになるなんて…思いもしなかった