第59章 夏の陽だまりに咲く初恋
「辰也君…?どうかした?」
「いや…その…聖知ちゃん…調べたかなって…」
「秘密って言ってたから…その内教えてくれるかなって思ったから…」
「ッ……」
落ち込んだように座り込んでる辰也君と目が合う。
まだほんのり顔が赤く、ゆっくり立ち上がると再び真剣な表情で私を見つめた。
「その内じゃないよ…今から教えてあげる」
「いいの…?秘密なら無理に話さなくても…」
「無理じゃないよッ…ずっと…聖知ちゃんに伝えたかった事があるんだ」
「伝えたい事って…何?」
辰也君はバスケットボールを地面に置き私の両手を握りしめる。あれだけ秘密って言ってた事を教えてくれる事に好奇心が働き辰也君の話を黙って聞くことにした。
辰也君は再び深呼吸をしてさくらんぼみたいな赤い顔で口を開いた瞬間、背後から元気な声で話を遮られた。
「よッ!辰也、聖知!……お前ら…手なんか握って何やってんだよ」
「ッ…!」
「あ、大我君…」
「なんだよ、辰也…顔赤くねえ?風邪でも引いて…」
「大我……少し…話をしようか…」
辰也君はさっきの赤い顔が嘘のように大我君だけを連れて離れた場所で何か話をしていた。
辰也君の話がわからないまま2人が戻ってくるのを待ち…時計をふと見るとまだ時間に余裕があることに安堵し、辰也君が置いていったバスケットボールを拾いベンチへ座った。
離れた場所で桐生が笑っているとも知らずに