第59章 夏の陽だまりに咲く初恋
––聖知side—
お祖母様の用ってなんだろう…
勉強の時間はちゃんと集中してこなしているはず…
それとも…
お祖母様の気に障るような事をしてしまったのか……
不安を抱えながらお祖母様の部屋まで来てもなかなか勇気が出ず一歩が踏み出せずにいると聞き慣れた冷たい言葉が突き刺さった。
「聖知…貴女何やってるの」
「ッ…お…お祖母様…あの…桐生からお話があると聞きまして…」
「………聖知」
部屋にいると思ったお祖母様は私の背後にいて、いつもの様に冷たい氷のような表情で私を見下ろしていた。
決まっていつも呼び出される時は折檻されたりすることが多く、おどおどしたような態度をお祖母様の前で見せてしまい、名前を呼ばれると同時に頬を打たれた。
「ッ………」
「何度教えたらわかるの…そのビクビクしたように話すのは辞めなさい!」
「ッ……申し訳…ありません…」
「澄香が貴女くらいの歳の時には、きちんとなんでもこなしていたのに…なんでこんなにも貴女は無能なの?やっぱりあの男の血筋のせいね。ほんとに穢らわしい…話すことはないわ、さっさと部屋に戻りなさい。」
「……はい。」
打たれた頬がジンジンと赤くなり腫れ上がる。
腫れた頬を押さえて泣くと、また打たれる事を知ってからお祖母様の話が終わるのを待ってから深々とお辞儀をして自分の部屋へと戻った。