第58章 初恋の再会
「あ、ちょうど良かったです。聖知ちゃんと話したい事があるので…笠松さんは席を外してもらえませんか?」
「えッ…どうし…」
「なんで俺が外さねーといけねえんだよ。目の前で話せよ。」
「さっきも言いましたが…貴方には話すつもりはないので。」
「聖知の恋人は俺だ…よく知りもしねえ奴と2人っきりになんかできるわけねえだろ。」
笠松が席を立つのを見て冷やかな表情で氷室は挑発するように笑んだ。聖知の仲裁も入る隙間がないほどお互いに睨み合いが続き…
折れたのは氷室の方だった。
「はぁ…仕方ないかな……聖知ちゃん…俺の事…覚えてないよね…?」
「ぇ…その……ご…ごめんなさい…」
「いや…構わないよ…7年前の事だし…
でもこれだけは…わかって欲しい…
俺は聖知ちゃんを…ずっと探していた。」
「…7年前って………」
氷室は小さくため息をつき、聖知の両手を優しく包み込むように触れる。
氷室の真剣な表情に目を逸らすことができないまま『7年前』と聞くと再びアメリカでの出来事が聖知の頭の中で記憶として蘇る。
そしてふと思い出した。
『7年前』の話を以前にある人物から尋ねられたことがある事を…
暑い夏の日のストバスの出会いの事を…