第58章 初恋の再会
「ッ……ごめん…なさい…私のせいでッ…」
聖知は泣きながら俺の服にしがみつき何度も謝った。聖知が悪いわけじゃねえのに監禁の事まで知っているとは思わず理由を聞いた瞬間血が沸騰するくらい花宮に対して怒りが込み上げた。
許さねえ…
アイツだけはぜってぇ許さねえ…
どんだけ聖知を傷つければ気が済むんだ
聖知が泣いてる理由は花宮が怖かったからだと思った。
それもゼロではねえけど…聖知の口から出てくるのは俺の怪我を気遣うことばかりだった。
いつもそうだ
イジメがあった時も…
ショッピングモールで襲われた時も…
自分の身の心配よりも周りや俺の事ばかりに気を配る。それが悪い事ってわけじゃねえのはわかってるが…
もっと聖知には自分自身を大切にしてほしい
そう感じた
何より聖知の口から、また1人で抱え込もうとしている言葉を聞くとやるせない気持ちになる。
聖知に俺の今の気持ちをぶつけたくて俯いている聖知の頬に両手を添えて自分の方に向かせた。
「聖知、聖知にとって俺はなんだ…ただの頼りない先輩か?」
「……ちがッ…私は…」
「聖知にとって俺はどういう存在なんだよ、答えてくれ」
「………大切な人です…幸男さんは…」
「……聖知が俺を大切に思っているように…俺も聖知の事をかけがえのない大切な存在だと思ってる」
「……幸男さん…」
「聖知が俺の事を気にかけてくれるのは嬉しい…だが、自分1人で抱え込むような事はするな…俺が怪我をしたら後悔するって言ったが……俺だって聖知が危ない目にあってんのに黙って見てられねえ……また…聖知に怪我させちまったらって思うと絶対後悔する」
「…ッ……」
俺は小林に怪我を負わされた時の聖知を思い出した。あの時は何もできなくて如何に自分が無力なのか思い知らされた。
もう泣いてる聖知や怪我をして悲しんでいる聖知をぜってぇに見たくない。
頬から手を離し再び俺は聖知を優しく胸板に抱き寄せた。