第58章 初恋の再会
「それに、迷惑なんて思ってねえ…思うわけねえだろ…聖知は俺が心配するのは迷惑だって思ってんのか?」
「ッ…思ってない…です」
「ならもっと甘えろよ…俺の怪我じゃなくてもっと自分を大切にしろ」
「ッ……幸男さん…」
強張っていた聖知の身体が徐々に緩んでいく。
ふと胸板にぬくもりを感じると俺に寄り添うように委ねる聖知の姿にホッとした。
聖知は今までの環境のせいか…
すぐに自分で背負い込んで1人で無理をしようとする
今まで…誰にも頼らないで生活してきた習慣はそう簡単には変わらない
頭ではそうわかってたつもりだが…
俺といる時はもっと頼って欲しい
嫌な事とか心配な事…嬉しい事…何でも…
いまにも壊れそうな聖知の頭を撫で、気持ちが落ち着くまでお互いに言葉を交わさず抱きしめた。
言葉はいらなかった。
今はただ、聖知にそっと寄り添うことだけがすべてだった。
* * *
しばらく抱きしめていると聖知は落ち着いた様子で俺から離れる。さっきよりかは表情が柔らかくなったが…今だに浮かない表情を浮かべていた。
「幸男さん…ありがとうございます。私…いつも甘えてばかりで…」
「そういうとこだ…甘える事は何も悪いことじゃねえ。それに俺はもっと甘えて欲しい…そう思ってる。支えるって約束しただろ…嫌な事も心配な事も全部吐き出せ。」
「幸男さん…私…
幸男さんのそういうとこ大好きです。」
「ッ…な…///」
聖知の突然の不意打ちの言葉に顔に熱が集まる。聖知は天然というか…素直というか…ストレートな気持ちを俺に伝える時がある。
もちろん嫌ってわけじゃねえ
むしろ嬉しいし、聖知の事を好きな奴がいる中…その言葉を聞くだけですげえ安心する。
その反面、たまに理性を試されている時もあるが…