第58章 初恋の再会
––笠松side—
氷室と張り合っていたら付き添いの女医に怒鳴られ、俺と氷室はその場で説教された。
説明によると聖知は目が覚めたばかりで顔色がまだ悪く、安静にした方がいいという見解だった。
「具合の悪い子がいるのに大きな音を立てて何事か」
「今1番にすることは彼女に寄り添う事」
と叱られ聖知の事を心配していたのに…いつの間にか氷室と張り合ってしまっていた。
「次したら入室禁止」と釘を指され、付き添いとしてまず俺が入室することを許してもらった。
今にして思えば…聖知は目が覚めたばかりで、さっきの行動は軽率な行動だったと反省し、小さく深呼吸をして部屋へ入室した。
「聖知…」
「ッ…幸男さん…」
「……さっきはびっくりさせたよな…悪い…気分は……」
聖知は俺の顔を見るなり泣き出した。
俺の問いかけにも答える余裕が無いくらい泣いていて…さっきの自分の言動を改めて反省し、声をかけられないまま抱きしめる事しかできなかった。
聖知が泣いてるのを見て余程怖い思いをしたのだとこの時はそう思っていた。
聖知が泣いてる理由を知るまでは…