第58章 初恋の再会
「“一緒に来た学校の先輩”ってところですよね。ただの先輩後輩の関係にしては仲が良いなと…」
「……何が言いたいんだよ」
「…何か…言いたいように見えました?」
「何が言いたいのか知らねえけどな…ニコニコ笑ってる割には敵意丸出しなのが隠しきれてねえぞ」
先輩と後輩の部分だけ強調するように話す氷室に、ヒシヒシと何か言いたげな雰囲気を醸し出しているのを感じ、問い詰めると氷室の表情は冷たく変化した。
「俺は聖知ちゃんを子供の頃からずっと探していた。いつかまた逢える日を信じて…でも、彼女にやっと再会できたと思ったら…貴方がいた。邪魔者がいれば誰だって不快になるのは当然ではありませんか?」
「お前ッ…聖知とはどういう関係だ……」
「その話は笠松さん、貴方に話すつもりはありません。俺が望むのは一つ、聖知ちゃんに俺の事を思い出してほしい。そして…俺の想いを受け止めて欲しい…それだけです。」
聖知の事を話す氷室は穏やかに愛おしむような優しい表情を浮かべるが、笠松の話になると眼光が鋭くなり、淡々と話す豹変ぶりに笠松はある事を察する。
氷室は俺と聖知の事に気づいている。
先輩後輩ではなく…
特別な関係であることに
そして…俺に対する敵意…
氷室が聖知に好意を抱いていると