第58章 初恋の再会
「幸男さんっ…⁉︎…っ…」
ただ事ではない緊迫した声色で『逃げろ‼︎』と叫ぶように聞こえ…そのまま電話が切れてしまった。
慌てて再び掛け直しても電話の電源が切れているのか繋がらない。
幸男さんの身に何がっ…
急いで探しに行かないとっ…
こんな事ならもっと早く電話していればっ…
すぐ連絡しなかった事に後悔しながら、幸男さんの忠告を聞かずに探しに行こうと思った矢先、突然グイッと強く髪を後ろから引っ張られる。
「よう…久しぶりだな…聖知チャン。」
「っ…は…花宮…っ嫌…離してっ…!」
「相変わらず躾がなってねえ女だな…誰がご主人様かゆっくり教えてやるよ。」
「っ…いっ…痛ッ…離してっ…!」
なぜ花宮いるのかわからず…一瞬頭が真っ白になった。
すぐにショッピングモールで襲われた事を思い出し、すぐ離れようと抵抗したけど髪を強く引っ張られ逃げられない。
すぐに逃げないと…
今まで…襲われた経験から頭が…身体が『逃げろ』と危険信号の警鐘が鳴り響く。
でも…髪を鷲掴みにされたまま何処かに連れて行こうとする花宮に自分の力だけではどうにもできなかった。