第58章 初恋の再会
––笠松side—
「そう熱くならないでよ、先輩♡
愛しの聖知ちゃんはまだ無事らしいよから♡」
「花宮は今、どこにいるっ……」
「教えたって意味ないじゃん…先輩はそこでおねんねしててよ♪」
聖知がまだ無事という事に安堵したが…いつ花宮が動き出すかわからずもう一度縄を解こうとしたがビクとも動かない。
どんだけキツく縛ってんだっ…
ここから逃げ出すのは容易じゃねえ…
でもこれ以上時間をかけてる暇は無いっ…
俺はすっかり油断しているコイツらにバレねえようにズボンのポケットにしまっているスマホを指の先で掻き…ゆっくり引き出した。
うまい具合に外にスマホを引き出し、タップをしようとすると画面に『聖知』という文字が表示されスマホに着信が入る。
「っ…!」
着信音が鳴り響いた瞬間、考えている暇もなく指の先が通話ボタンに触れ、聖知の声がスマホから聞こえる。
「あっ…幸男さん…今…」
「今すぐそこから逃げろっ‼︎は…」
見張っていたコイツらの行動が早かったか…俺の声が早かったか…聖知の声も待たずに大声で危険を伝えた。
しかしすぐに通話ボタンを切られ切断されてしまい、目の前に立つコイツらをキッと鋭く睨みつける。
スマホを奪った原はニンマリと楽しそうに笑っている様子にギリっと歯を食いしばり、今すぐ助けに行けない自分に不甲斐なさを感じた。