第58章 初恋の再会
「……幸男さん…遅いな…電話、もしかして緊急の用事だったんじゃ…」
あれから何分経ったのか…
幸男さんが戻ってくる様子はなく、ベンチで猫じゃらしを片手に猫と戯れる。
様子を見に行こうかと思ったけど…電話中だったら悪いと思い、もう少しここで待つことにした。
そう思っていると、聞き覚えのある声が耳に入る。
「あれ…?せっっちんじゃん…こんなとこで何してんの〜?」
「……えっ……むっ…むっくん…!?」
聞き覚えのある声に振り向くと、両手いっぱいにお菓子の袋を抱え、うまい棒を頬張りながらむっくんが私を見下ろしていた。
「…ひ…久しぶりだね…むっくん…こそ…どうしたの?」
「ん〜卒業以来だよね〜今こっちで合宿中なんだけど…せっちんもストバス見にきたの〜?」
「へ…?ストバス…?」
「違うの?……あっ…ちょうどいいや…せっちんに会いたいって言ってる奴がいるんだけど…ちょっと付き合ってよ。」
「えっ…ちょっ…ちょっと待ってっ…」
中学の頃からお菓子を頬張っている姿を見てきたけど、高校に入ってからも変わらず…むしろお菓子の量が増えている気がする。
むっくんは思い立ったように私の腕をグイグイ引っ張り、ベンチから立たせて何処かに連れて行こうするのを私は制止した。