第13章 ライバル
ーー笠松視点ーー
俺は、水瀬を危険に晒したことと花宮の執着に水瀬をどう守れるか考え自分でも意識しないうちに水瀬の家まで手を掴んだまま帰って行ってたのに気づかなかった。
自分が手を繋いでいたことに意識すると慌てて手を離し顔に熱が集まる。
「…ッ…わ…悪いッ…じっ…じゃあ…明日…朝練でな……」
お礼を言う水瀬の声が背後で聞こえ、帰りながらふと花宮から庇った時の水瀬の怖がり方が尋常じゃなかった。
中学の時に何かあったってのはわかるが、あの怖がり方は尋常じゃない。
俺は、足を止めると踵を返し再び水瀬のマンションの方へ戻った。
「……ッ水瀬…。」
「…笠松…先輩?…どうかしました?」
俺が戻ると水瀬はキョトンとした表情を浮かべていた。
「……花宮のこととか…他のことでも悩んでるなら…頼れよ?
迷惑なんて思ってねえし…何より守るって約束しただろ…」
「…………」
「あ…あれだ…あんな野郎のことで悩むなら…」
水瀬は相変わらずキョトンとした表情を浮かべていた。
バスケならすぐなんでもハキハキ言えんのに水瀬のことになるとどうもうまく言葉が出せねえ…