第58章 初恋の再会
—笠松side—
「もしもし…母さん…なんか用か?」
「あら!聖知ちゃんとのデート中に悪いわね〜実は、幸男に頼みたい事があってね…」
「っ…うっ…うっせえ!…よ…用は急ぎか?急ぎじゃねえなら切るぞっ…」
「はいはい…邪魔して悪かったわね…実は聖知ちゃんにお願いしたい事があって…」
コンビニ近くに来ると電波が戻ったのを確認すると、あまり目立たない場所で母さんへ電話を掛け直した。
イベント開催してるせいなのか、屋台やキッチンカーへ向かう人がほとんどでコンビニには店内や周辺にも人は少なく早く終わらせようと急いで電話を掛けた。
* * *
「全く…聖知がやるって言うわけねえだろっ…」
母さんからの電話が終わり、聖知の元に戻ろうと振り返ろうとした時…それは起きた。
「笠松…言っただろ…背後には気をつけろってな…」
「っ…おまっ…!」
聞き覚えのある声に振り向こうとした時には遅かった。
背中に硬い物を押し付けられ、機械音が鳴り響くと俺はその場に倒れ込んだ。
「ハッ…ゆっくり眠ってろよ…聖知チャンは俺が可愛がってやるからよ。」
「っ…花宮っ…聖知に…手を出すっ…ぐぁっ…!」
身体が痺れて動けねえ…
今ここで気を失えば聖知が危ない
こいつを行かせるわけにはいかねえっ…
動けない俺を嘲笑うような表情で屈み込んで、耳打ちするように花宮は囁くと、血管がブチ切れそうなくらい相手に怒りが込み上げ、ギロっと睨みつけた。
最後の力を振り絞り、花宮の足を掴み行かせねえように試みたが、再び背中に激痛が走り俺の意識はそこで飛んだ。