第58章 初恋の再会
––笠松side—
公園に入ると聖知が俺の腕に抱きついた
いつもは手を繋ぐ事が多かったが、素直に甘える仕草を見るとすげえ可愛い…
こういう時は肩を寄せた方がいいって…どっかの雑誌で読んだことあるが…腕から伝わる聖知の温もりにそれどころじゃなく、心臓がバクバク状態だ。
そんな中、スマホに着信が入ると、聖知の温もりが腕から消える。
くそっ……こんな時にっ…
誰だよ…せっかく……
せっかくの雰囲気が壊れ、邪魔された事にイラつきながスマホを見ると母さんだった。
「…母さんかよ…って…ここ電波あんまねえな…」
「コンビニ付近ならきっと電波あると思いますけど…」
すぐ近くにコンビニがあり、移動しようとすると電話が途中で切れてしまう。
「あ、切れちまった…」
「急ぎの用だといけないので…折り返しした方が…」
「そうだな…聖知…
…悪い…ちょっと待っててくれ…」
「はい、ここで待ってますね。」
確かに…忘れ物か…何かあったのかわかんねけど…
折り返しした方がいいな…
幸いコンビニはすぐ近くにあり、公園内も奥へ進むに従って人が多くなってきた。すぐ終わる電話だと思い、聖知に声を掛けコンビニの方へ小走りで駆けていく。
なんで気づかなかったのか…
なんで警戒しなかったのか…
その公園は聖知と一緒に桜を見た公園だけじゃなく…花宮と鉢合わせた事を忘れていた。
俺の行動のせいで聖知をこれまで以上に危険に晒すことになるとは思わなくて後悔した。