第58章 初恋の再会
––同時刻 くすのき公園入口––
「この公園…たしか…
幸男さんと一緒に夜桜を見に来ましたね。」
「お…覚えてたのか?」
「はい…でも、すっかり…葉っぱだけになっちゃいましたね…」
海常近くにある大型公園
公園入口前には、桜並木が広がっており見覚えのある景色に花宮の事で悩んでいた時、笠松が連れてきてくれた公園だと聖知は思い出した。
綺麗だった桜も新しい若葉が生え、桜が見れるのは来年になる。
少し寂しげの聖知の表情に笠松は気づいて照れくさそうに言葉を続けた。
「また…来年一緒に見に来ればいいだろ…」
「えっ…?」
「だっ…だから…桜…また2人で見に来ればいい…来年でも…再来年でも…だから…あんまそんな顔すんなっ…」
頬を赤らめながら話す笠松に、聖知は嬉しくなり頬を赤く染めながらゆっくり頷く。
高校を卒業しても側にいてくれる
そんな笠松の気持ちが嬉しくて…繋いでいた手を離し、聖知は笠松の腕を組む。
お互いに顔を赤らめながらそのまま公園内を歩いて行き、ふと広場にある時計に笠松は視線を向ける。
「もうすぐ昼だし、どっかで昼飯食ってから行くか…」
「もうそんな時間ですか…どこかでおにぎりとかサンドイッチとか買って公園内で食べるとかでもいいですね。」
「そうだな…つーか…奥の方すげえ人だかりだな…」
「何かイベントとか、あるんでしょうか…」
公園内にはコンビニも隣接されており、公園付近にも定食屋や飲食店が複数軒並んでおり、いつもは来ていない屋台やキッチンカーが展開されている。
ふと、園内にある案内板を見ようと近づくと笠松のスマホが鳴り聖知は笠松の腕を離した。