第58章 初恋の再会
–––くすのき公園
ストリートバスケエリア–––
「室ちんさぁ…来たかったのってココなわけ…?」
「あぁ…小規模だがストバスの大会があるってチラシを見てたら無性にバスケがしたくなってね。」
イベント開始前の人だかりが多い中…
陽泉のジャージに身を包んだ男が2人。
キセキの世代の1人…紫原敦、新人エース氷室辰也。
合宿の些細な自由時間、氷室が向かったのはとある大型の公園。
チラシを片手にバスケコートを満足そうに眺める姿に紫原は呆れて不機嫌そうに氷室を見て言葉を続けた。
「あのさー俺帰っていい?バスケなら合宿で嫌になる程したじゃん…どうせならさー関東限定のお菓子食べ歩きに行きたいんだけど…」
「まぁ…そう言わずに…ちなみに優勝賞品は関東限定の非売品のお菓子らしいぞ。」
「……まぁ……付き合ってもいいけど…」
「お菓子」と言うキーワードに釣られて紫原は、すんなり参加を承諾しうまい棒を頬張る。
その最中、氷室の視線は小さな女の子がバスケットボールを持って笑顔ではしゃいでる姿を見て微笑んでいる。
「室ちん…何笑ってんのー?知り合いでもいるわけ?」
「いや…少し昔を思い出してね。
アメリカにいた時…彼女と出会ったのもストバスだったなって…」
幼い頃、ストバスで出会った彼女
出会いは突然だった。
大我の放ったボールが運悪く、名も知れぬ女の子に当たってしまったのがきっかけだった。
それが彼女…水瀬聖知との出会いだ。
氷室は懐かしむように、首から下げているロケットを開く。
幼い頃の3人の写真…
火神と自分…そして水瀬聖知の写真が映っていた。